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公認会計士・税理士 萩谷孝男事務所

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2024年11月26日(火)

青色申告事業主の営業キャッシュフローはプラスになりやすい?

青色申告個人事業主のキャッシュフロー分析は、法人と比べてアバウトになりやすいです。特に、生活費や他の所得区分との密接な関係が、キャッシュフロー分析を複雑にしています。しかし、この特性を正しく理解し、適切な指標を活用すれば、顧問先にとっての大きな価値提供が可能です。
 まず押さえておきたいのは、青色申告個人事業主にとっての営業キャッシュフローの特性です。法人と同じキャッシュフロー指標を適用すると、プラスになりやすい傾向があります。その理由として個人事業主には、法人における「役員報酬」に該当する経費項目がなく、全て事業主貸となる事や専従者給与もある程度自由に設定できるため、営業キャッシュフローが利益に直結しやすいからです。
 そして生活費の増減がキャッシュフローに直接影響を与えるため、経営分析では慎重な対応が求められます。たとえば、営業キャッシュフローがマイナスになった場合、多くの個人事業主は最初に生活費の削減で対応しようとします。この「生活費削減」という行動は、経営の健全性を保つ一方で、家計に与える影響が大きく、持続可能性に課題を残すこともあります。

○経営安全率と自由資金比率を活用した分析

私が考える青色申告個人事業主のキャッシュフロー分析指標には、次の2つがあります。

経営安全率=(特別控除前所得 + 特別損失 - 特別利益 - 生活費) ÷ 粗利
 この指標を使うことで、事業の粗利が生活費や経営リスクをどれだけカバーできているかがわかります。生活費を含めた計算を行うことで、顧問先にとってより現実的な分析が可能になります。

自由資金比率=(通常のフリーキャッシュフロー - 生活費) ÷ 特別控除前所得
 生活費を差し引いた後のキャッシュフローが、事業全体のキャッシュフローの中でどれほどの割合を占めるかを示します。自由資金比率が低い場合、生活費が事業の資金繰りを圧迫している可能性があります。

 これらの指標を用いることで、生活費の影響を含めたキャッシュフロー分析が可能となり、顧問先にとって非常に有用な提案ができるようになります。

○キャッシュフロー「見える化」が成功の鍵

 これらの計算や分析を手作業で行うのは煩雑ですが、エクセル版個人用「キャッシュフロー見える化シート」を使えば、一瞬で整理できます。このツールは、生活費や専従者給与を考慮した個人事業主特有のキャッシュフロー分析に対応しており、複雑な計算を自動化します。また、事業の現状を「見える化」することで、クライアントに経営の全体像を直感的に伝えることが可能です。

※青色個人事業主の計算書分析において、経営安全率や自由資金比率に生活費を考慮することは私の個人的な分析手法です。従いまして、他の方法を否定しているわけではありません。

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