公認会計士・税理士　萩谷孝男事務所

「なぜ利益が出ているのにお金が残らないのか？」この問いかけは、経営者が抱える資金繰りの悩みの中で最も多いもののひとつです。特に税理士や公認会計士として顧問先に助言を求められる際、この根本的な疑問に的確に答えることができれば、顧問先との信頼関係がさらに深まります。
　そんなときに活用できるのが、エクセル版の「キャッシュフロー見える化シート」です。このツールを使えば、数字だけではわかりにくい「お金の流れ」を可視化し、視覚的に顧問先に説明できます。例えば、帳簿上は利益が出ているのに手元に現金が少ない理由や、収入と支出のタイミングのずれなど、実際の資金の動きをグラフや図で一目で理解できる形になります。
　また、設備投資を予定している場合、現金の流れにどのような影響があるかを事前に把握しておくことも重要です。キャッシュフロー見える化シートで現金の流れをシミュレーションすることで、投資計画を立てる際の注意点や、資金の余裕を保つための心構えをクライアントと具体的に共有できます。無理な投資によるキャッシュフローの悪化を避け、健全な資金管理の視点を提供することが可能になり、キャッシュフロー経営の重要性を説明できます。
　さらに、銀行からお金を借りるときの説明資料としても、このシートは有効です。キャッシュフローを視覚的に示すことで、銀行側も資金計画の内容を理解しやすくなり、適切な借入額や返済計画を設定しやすくなります。こうした資金繰りの見える化は、顧問先が資金調達の際に有利な条件を得るためにも役立ちます。
　キャッシュフロー見える化シートは、数字が苦手な経営者でもお金の流れを直感的に理解できる強力なツールです。顧問先にとって、信頼できる税理士や公認会計士から資金管理の指導を受け、安心感を提供されることはお互いの強固な絆を醸し出すことになります。