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公認会計士・税理士 萩谷孝男事務所

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2024年11月20日(水)

社会保険料を抑えるための役員報酬調整がキャッシュフローに与える影響とは?

  税理士・公認会計士の先生方、顧問先の中には「社会保険料を安くするために役員報酬を減らしたい」と相談してくる経営者が多いのではないでしょうか?確かに役員報酬を下げることで、会社と役員が負担する社会保険料を減らすことができますが、ここには大きな落とし穴があります。適切な助言を行うためにも、この調整がキャッシュフローや財務にどのような影響を与えるかを理解しておくことが重要です。

1.役員報酬を減らすことで何が起こるのか?
 赤字の会社では、経費削減の一環として役員報酬を減額するケースがよく見られます。その目的は、社会保険料の負担を軽減することにあります。しかし、役員報酬が減った後も、経営者が生活費を賄うために会社から必要な金額を引き出す場合、そのお金は「役員貸付金」として扱われることになります。

2.「役員貸付金」という実態のない資産
 役員貸付金は、帳簿上では会社が役員にお金を貸した形になりますが、実態としては、単に少なくなった役員報酬を補填するための引き出しです。この状態が続くと、役員貸付金が膨らみ、財務状況を圧迫することになります。
 さらに、役員貸付金は返済されないことが多く、会社のキャッシュフローに負の影響を与えます。このような状況は、銀行や投資家からの信用にも影響し、資金調達に不利な条件がつくことも考えられます。

3.財務キャッシュフローとしての影響
 役員報酬を減額することによって生じる役員貸付金は、キャッシュフロー計算書では「財務キャッシュフロー」に分類されます。つまり、経常的な営業活動から生まれるキャッシュフローではなく、資金繰りのつじつま合わせの結果として発生するため、経営の健全性を測る指標としてはマイナスの評価となります。
 このまま赤字が続き、さらに役員報酬を削減していくと泥沼にはまり、いつまでたっても役員貸付金は増加するばかりです。
 まずは、利益を出すことに集中し、営業キャッシュフローをプラスに持って行くことが重要です。

4.なぜキャッシュフロー見える化が必要なのか?
 このような事態を防ぐためには、役員報酬の適正な設定だけでなく、会社のキャッシュフロー全体を見える化し、問題を早期に把握することが重要です。
 キャッシュフローを可視化することで、役員報酬を調整した結果が財務にどのような影響を与えているかを具体的な数字で確認でき、顧問先に対して「社会保険料削減のために役員報酬を減額した場合のリスク」を明確に説明でき、適切なアドバイスを提供することが可能です。
 また役員報酬を減額することで一時的な社会保険料削減を図る方法は、長期的にはキャッシュフローの悪化や財務状況の不健全化を招くリスクがあります。

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