公認会計士・税理士　萩谷孝男事務所

顧問先のキャッシュフロー経営を支援する際に重要なのは、帳簿上の利益がそのまま現金として残るとは限らないという現実を、顧問先にわかりやすく伝えることです。そこで役立つのが、「アクルーアル比率」という指標です。
1.アクルーアル比率で何がわかるのか？
　アクルーアル比率は、帳簿上の利益がどれだけ現金化されているかを示します。これにより、単に「営業キャッシュフローがプラスだから安心」という誤解を避けることができるのです。利益は出ていても、そのまま現預金として残っているとは限らず、キャッシュフローの「質」を見極めることが必要です。
2.具体例：売掛金や在庫の影響
　たとえば、売掛金や在庫が増えた場合、利益は帳簿に記載されても、実際の現金はまだ手元に入っていません。逆に、売掛金や在庫が減少すると、利益が現金化され、実際に現預金として残る可能性が高まります。この動きを理解してもらうために、エクセル版「キャッシュフロー見える化シート」の分析を活用すれば、アクルーアル比率を使わなくても視覚的に状況を示しながら、経営の現実を理解してもらうことができます。
3.利益がそのまま現預金で残るかどうかが大事
　実際に、利益がそのまま現預金で残っているケースを数字や図解で示すと、顧問先も具体的な資金の流れを理解しやすくなります。営業キャッシュフローが一時的にプラスであっても、売掛金や在庫によって現金化されていなければ、その利益は質的に十分ではありません。
　「キャッシュフロー見える化シート」は、こうした顧問先のキャッシュフローを視覚的にわかりやすく表現するツールです。これを活用することで、帳簿の数字の裏側にある「実際の現金の動き」を理解してもらい、より質の高い資金管理を実現させることができます。