公認会計士・税理士　萩谷孝男事務所

税理士や公認会計士として、顧問先から「利益は出ているのに、なぜお金が残らないのか？」という質問をよく耳にしませんか？この疑問は、財務に関わる私たちにとって、特に重要なテーマです。利益が出ているにもかかわらず、手元にキャッシュが残らない状況は多くの企業が抱える課題であり、その解決にこそ、私たちが提供する価値があります。
　今回は、この問題の原因を分かりやすく解説し、「キャッシュフロー見える化シート」を使って、どのように顧問先にその問題を「見える化」し、改善を指導できるかを紹介します。
なぜ利益が出ているのにお金が残らないのか？
　利益とキャッシュフローは、同じ「お金」に関わるものですが、その意味は大きく異なります。利益は、売上から経費を差し引いた後の「損益」を示しますが、キャッシュフローは実際に「現金」がどのように流れたかを示します。この違いが、顧問先が混乱する原因の一つです。
ここで考えられる主な原因をいくつか挙げてみましょう
1. 売掛金の未回収
・売上は計上されているが、実際に現金が入っていない場合。顧客からの支払いが遅れることで、手元に現金が不足します。
2. 在庫の増加
・売るための在庫が増えているが、まだ売れていないため現金化されていないケース。特に製造業や小売業ではよくあるパターンです。
3. 借入金の返済
・利益は計上されていても、過去の借入金返済によって多くのキャッシュが流出している場合です。
4. 設備投資や事業拡大
・会社の成長を目的とした投資が、短期的にはキャッシュを大きく減少させます。

キャッシュフロー見える化シートで原因を「見える化」
これらの複雑なキャッシュフローの流れを、顧問先に「言葉」だけで説明するのは限界があります。そこで役立つのが、「キャッシュフロー見える化シート」です。このシートを活用することで、経営者は自社のキャッシュフローの状況を一目で理解できるようになります。
　このシートは、単なる数字の羅列ではありません。経営者が直感的に理解できるビジュアルな要素を取り入れることで、キャッシュフローの状態を効果的に伝えることができます。
　営業キャッシュフローは売上や経費を含む日常の事業活動からの現金の流れです。売掛金が増えた場合、ここがマイナスになりやすいです。
　投資キャッシュフローは設備投資や事業拡大に使われた現金です。企業の成長には不可欠ですが、短期的にキャッシュを圧迫します。
　財務キャッシュフローは借入金の返済や資金調達の現金の流れです。返済が多い場合、キャッシュフローに大きな影響を与えます。
実際の指導での使い方
「キャッシュフロー見える化シート」を活用することで、以下のような指導が可能です：
1.原因の特定
　キャッシュフローが減少している具体的な原因（売掛金、在庫、借入金返済など）を特定し、クライアントに対して具体的な改善策を提示できます。
2.アクションプランの提案
　例えば、売掛金の回収を加速するための取り組みや、在庫管理の効率化など、キャッシュフロー改善に向けた具体的なアクションを提案できます。
3.将来のキャッシュフロー予測
　過去のデータをもとに、今後のキャッシュフローを予測し、事前に対策を打つことができます。
顧問先の信頼を得るために
　「利益が出ているのにお金が残らない」という問題は、経営者にとってストレスの原因になりがちです。この問題を解決できるかどうかで、顧問先からの信頼が大きく変わるポイントです。税理士や公認会計士として、キャッシュフロー経営の指導を通じて、クライアントの経営を改善に導くことができれば、あなたの信頼性は飛躍的に向上します。

まとめ
　利益が出ていてもお金が残らない理由は、キャッシュフローの流れを正しく理解できていないことが大きな要因です。「キャッシュフロー見える化シート」を活用し、顧問先に現状を視覚的に伝えることで、経営改善の効果を最大限に引き出せます。
　あなたもこのシートを活用して、顧問先の財務状況の改善を支援ませんか。そうすることで、あなた自身の価値もさらに高まります！